19歳の引越し
ふと留学時代のことを思い出していた。
アメリカの英語学校に通っていたが、ようやく短大の正規入学が決まり、その学校がある町へひとり引越した時のこと。
その頃、恐らく日本人には信じられないくらいのす~んごいオンボロ中古車に乗っていた。
日本だったら絶対に車検には通らないくらいのハンパないボロだった。
それを方向音痴の私が、聞いたこともないド田舎の町に向かって地図片手に結構な距離をひとり走らせての引越しだった。
今思うと恐ろしいことである。
よくたどり着けたなあと今さらながら思うのである。
だっていつ故障してもおかしくない車だったし、第一、前記した通り私は方向音痴なのだ。
迷って車が故障して途方に暮れるなどということを想定しなかったのか。
若者たるパワーだろうか。
いや、何も考えていなかった、ただそれだけのことだろう。
町に着き、とりあえずの寝床を確保する。
アメリカではモーテルと呼ぶのだが、ただベッドとお風呂場とトイレがあるだけの安く泊まれる質素なホテル。
たまたま選んだそのモーテルのオーナーの老夫婦がとてもよい人だった。
外国人が他の町からやってきてこれから学校に通う。
自分のこれから住むところを探すまでモーテル暮らし。
そんな私の状況を憐れんで(?)くれ、キッチンつきの部屋を提供してくれたり、毎朝おくチップを手付かずにして受け取らなかったり。
初めてアメリカという異国でひとりぼっちを感じ、究極の寂しさ心細さを味わっていた時の、身にしみわたる親切だった。
しかし。
わけの分からないヘンピな小さな町へ住むところも確保せずに、しかもコキタナイ車ひとつで無計画に引越しをする。
そんな無謀なこと、やはり何も考えていない人間ならではの成せる技だろう。
バカもたまには役に立つのだ。
| 固定リンク

