3月3日のひなまつり。
これまでは女子と言えどもういい年の私、特に何をやるでもなかった。
ところがしらゆき家に女の子が誕生し、つまり今度の桃の節句は娘の初節句なのである。
TVで雛人形のCMが頻繁に流れ出し始め、店先でも立派なすごいのがずらっと並んでたりする。
これから毎年来るものだし、雛人形買ってあげといた方がいいのかな、なんて思ったりする。
値段を見てびっくり。
10万円~!!
そんなに高価なものなのかい・・・
だけど、娘のためにいいものを買っといた方がいいのか・・・
それを夫がバッサリと斬った。
「いらないよ。うちじゃ保管しとくスペースもないし。」
確かに。
でも、そう結論が出ると、急に桜子が不憫に思えてきた。
そして無意識のうちに口ずさんでいた、聞かせるともなく。
あ~か~り~を~つ~け~ま~しょ~ぼ~ん~ぼ~り~にぃ・・・
「やめてよ、その歌い方! まるで桜子が死んじゃったみたいじゃん!」
そんなに欲しいの? と言われ、まるで私が遠まわしにおねだりしたみたいな形になってしまった。
そんな感じでどうしようか困っていたが、意外とすんなり解決した。
私の実家の雛人形が健在だったのだ。
たいそうなものではないのだが、、お内裏様とお雛様、三人官女がガラスケースに入っている。
ぼんぼりや桃の花、ひしもちも、雛あられをのせるお皿まである。
手前にあるねじをまくと、ひなまつりのメロディが流れる。
ねじを巻ききってすぐは軽快で楽しそうなオルゴール音の“ひなまつり”なのだが、時間の経過とともに速度も落ち、私がしんみりと歌った時のような陰気なムードでついにねじが切れる。
さすが37年前の年代モノだ。 それらしい構造である。
しかし、しまい込んだまま20年はほったらかしされていただろうこの雛人形、カビ一つなくきれいなままなのだから大したもんだ。
でもまさか自分が使っていたものを自分の娘が使うことになろうとは夢にも思っていなかった。
ガラスケースを拭いていていたらふと目に留まったものが。
木の縁の部分に、えんぴつで小学生低学年的な筆跡で
おひなさま
書かれてあった。
私の仕業か妹の仕業か・・・
でも、このいかにもヘタクソなこの字は恐らく私なのではないか?
こんな、普通やったら怒られる的なことをやるのも恐らく私だろう。
いつか、それを桜子に見せる時がくるんだろうか。