おまけの話と言ったらいけないか。
だって入院の最大にして唯一の目的、手術の話だからね。
生まれて初めて手術をした。
朝9時には手術室に入ります、と言われていた。
担当してくれた看護士さんも、手術の朝を迎えた私に何度も
「大丈夫よォ。心配しないでね。」
と声をかけてくれていた。
正直、手術自体にはそこまでの不安とか恐怖はなかった。
それより、全身麻酔をかけられるのがどんなものなのか、そっちの方に不安というか興味というかいうものがあった。
でも、そんなふうになだめられ続けると、どんどんと手術が現実味を帯びてくる。
血圧が最高潮に達していた。
看護士さんはそれを見てまたなだめてくれる。
時間となり、ベッドごと患者さんを移動させていく、というTVでよく見るそのままを私もやった。
夫と娘に覗き込まれながら
「頑張ってね」
などと、TVそのままの言葉が降りかかる。
手術室へ行く専用のエレベータに入り、看護士さん達は変わらぬ陽気さでお話をしてくれる。
看護士さんってスゴイな。
さて手術室。
想像はしていたが、なんかコチャコチャしている。
自分の名前を言わされて、2、3問答があったような気がする。
で、本当の手術する場所が奥らしく、歩けるってことで、そこからはベッドから下りて歩いて入っていった。
びっくりしたのは、狭さでも機械的な雰囲気でもない。
BGMにラブサイケデリコが流れてんの!!!
何?このポップな感じ?
何?このノリノリの雰囲気?
ユウセンなのか先生の持ち込みなのか、いずれにしろ今どきの手術室ってこんなんなんだ~と、次々と色んなものを体に貼り付けられながら音楽を聴いていた。
いよいよ最大関心事である全身麻酔。
どうやって始めるんだろう?
ま、こんなブットイ針を入れられてるんだから、間違いなくここから注入されるんだろうけど。
だけど、こんな頭冴えきっててお目目ぱっちりで、本当に意識なくせるのか?
寝れなかったらどうしよう?
またいつものくだらない事を考え始める。
「ナントカナントカ、いくついくつ入ります」
麻酔らしい。
「は~い、しらゆきさん、だんだん眠くなりますからねえ」
ほんとか?
最後まで懐疑心たっぷりである。
ところが直後、ブワッと何かが全身を流れるような感覚が走り、そしたらもう・・・記憶がない。
もう一つ驚いたのは、自然に麻酔から覚めるのではなく、先生に起こされる、ということ。
「しらゆきさん、しらゆきさん」
先生が名前を呼ぶ声で目が覚めた。
一瞬息ができなかった。
すぐに酸素マスクをしてくれたのか、すぐに楽になった。
覚醒室という所でしばらく寝ていた。
ふとんを何枚もかけられ、電気毛布もしてもらい、とにかく体を温められていた。
とにかく最初から最後まで細心の注意が払われてるんだなあ、としみじみ感心した。
縫合された部分は自然に溶ける糸ですから抜糸の必要はありませんよ、と言われていたが、この前先生の所へ行ったら
「あ、糸が浮き出てるね。取っちゃいましょ」
とかる~いタッチで言われ、え?え?え? と、何の心づもりもないままはさみでカチャカチャとやられ、でも幸い別に痛くもなく無事抜糸できてすべてを終了。
初めての手術がこういう軽傷のものでよかったと感謝しなければなるまい。